自治労のアンケートからも、コロナ禍で看護師ら医療従事者が疲弊していることがわかる
自治労のアンケートからも、コロナ禍で看護師ら医療従事者が疲弊していることがわかる

「賃上げの対象が救急車を年間200台以上受け入れる救急病院だけなので、対象となるのは全看護師の4割程度です。しかも看護師に限ると、職種間の分断を生みます。しかし、理学療法士など職種を広げていくと、1人当たりの金額はどんどん減っていきます。全ての医療機関、全ての医療従事者や訪問看護師に3%の賃上げを適用すべきです」

■「うつ的な症状」が23%

自治労のアンケートによると、「自身にうつ的な症状がある」と答えた人が23%に上った。高知県の公立病院でコロナ患者へのリハビリを行う理学療法士として働く男性(32)は、強いストレスのなかで働く実態を訴える。

「リハビリは患者さんに直接触れて行わなければいけないので、自分が感染するかもしれない恐怖からのストレスが一番です」

 当初、男性は業務後に帰宅する際、車の中で30分近く休まなければいけないほどの疲労感があった。今は身体的疲労とともに、精神的ストレスが蓄積されているという。男性は言う。

「うちの病院は規定で、いまだに職員は家族以外との飲食は禁止で、友だちや職員同士の飲食もできません。県外に出るのも原則禁止。コロナ受け入れ病院としてしかたがない点はありますが、こうした行動自粛のストレスが大きくなっています。看護師だけでなく、多くの医療従事者がリスクやストレスと向き合いながら、患者をよくしたいという使命感でコロナに対応していることを知ってほしい」

 自治労の平山さんはこう話す。

「医療現場はコロナ以前から人手が足りていません。そこに、コロナに感染したり濃厚接触者となったりして出勤できなくなると、残されたスタッフの業務負担がさらに増えます。しかも、いつコロナが収束するか先が見えないなか、精神的なストレスは大きくなっています。緊急時に対応できる人員の確保と、メンタルヘルスの相談窓口を設置することも重要です」

■23%が差別・偏見経験

 コロナ禍では、医療従事者やその家族へのいわれない差別も後を絶たない。自治労のアンケートでは、23%が「医療従事者であることで差別・偏見を経験したことがある」と答えた。

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