自治労が実施した医療従事者対象のアンケートで、約7割が辞めたいと回答した。コロナ禍による医療崩壊を防ぐには何が必要か。AERA 2022年5月30日号の記事から。
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医療従事者の約7割が辞めたいと思っている──。そんな結果が、自治体の職員などでつくる全日本自治団体労働組合(自治労)が行ったアンケートで明らかになった。
自治労は昨年11月から今年1月にかけて、全国の公立医療機関や公的な医療機関で働く組合員を対象にオンラインでアンケートを実施。看護師、臨床検査技師、薬剤師、理学療法士など7724人から回答を得た。
アンケートの「現在の職場を辞めたいと思っていますか?」との問いに、「辞めたい」と答えた人は、「常に思う(12%)」「しばしば思う(21%)」「たまに思う(36%)」を合わせると69%になった。辞めたい理由(複数回答)は「業務が多忙」が最も多く、次いで「業務の責任が重い」、「賃金に不満」と続く。自由記述では、
「看護師の人数が足りないです」
など、厳しい労働環境を訴える声が多く寄せられた。
「ボーナスの減額も、医療従事者のモチベーションを下げる一因になっていると思います」
自治労衛生医療局長の平山春樹さんはそう指摘する。
公務員の給与やボーナスは「民間企業との均衡」を基本に、人事院によって勧告される。民間企業はコロナの蔓延(まんえん)で業績が悪化しボーナスが抑えられていることから、人事院は公務員の賞与も2020年度は0.05カ月、昨年度は0.15カ月分と2年連続で引き下げた。
給与面では、岸田文雄首相が「新しい資本主義」の看板政策として看護や介護、保育の分野で働く人の賃上げをしようと、公定価格の見直しを打ち出した。今年10月以降は公的・民間を問わず、看護師の賃金は3%程度(月1万2千円)アップすることになる。だが、医療系労働組合の愛知県医労連書記次長の池田幹人さんはこう語る。