日大のイメージは変わるのか。
これまでの不祥事は日大に大きなダメージを与えてきた。入試の志願者数を見ても、危険タックル問題が起きた後の19年の一般入試では志願者数が1万4千人も減少。理事長が逮捕された後の今年の一般入試も前年より4千人減っている。
今回の林さんの次期理事長内定について、教育ジャーナリストの神戸悟さんは「好意的に受け止められると思う」としており、林さんの大学内での調整力に期待を寄せる。林さんの立場や作家としての実力が大学経営に生かせるとの見方だ。
「大学の外から来た人が、一般社会の目からみて正しいことは正しい、間違っているものは間違っていると率直に意見を言うことが期待されている。また、大学という組織では、言葉によるやりとりがより一層重要になってきます。作家で培った言葉を使い、組織を動かすことができるのではないでしょうか。同じく新しく選ばれる学長とどういった関係を築けるかで、今後の展開は変わってくると思います」
駿台予備学校進学情報事業部の石原賢一部長は「これまでの悪いイメージを払拭(ふっしょく)するチャンスになりうる」と話す。イメージが悪化したとはいえ、日大はブランド力も高く受験生にとっては依然として人気大学の一つだ。18歳人口も減り、経営に苦しむ大学も増えている中で、日大への注目度も高まっているという。
「不祥事があって、日大の受験を控えるという受験生もいた。本来であれば、危険タックル問題で騒がれたときに大学改革に取り組むべきだったが、結果として今に至っている。改革をうまく実現できれば、受験生からより一層の支持を得ることにつなげることができると思います」
日大広報課によると、3日に新理事長候補が理事会で決まり、7月1日に正式に新理事長が選出される見込みだ。
日大の復権に向け、どういった改革を打ち出せるか。林さんの手腕に注目が集まる。
(AERA dot.編集部・吉崎洋夫、週刊朝日・唐澤俊介)