■凡人の感覚を大切に
《練習は誰よりも長く、誰よりも濃く、が僕たちのルール。練習生の頃から僕たちが流して来た汗を集めたら、プールができてそこで泳げる》(anan 前掲号)と話したのはJ-HOPEだ。トップスターになったあとも、来日した際にプロのダンサーに独り教えを請いに行くほど、ダンスへの情熱は熱い。事務所に入所後初めてダンスを学んだJIN(ジン)は、デビューした後でもダンスの実力不足を指摘されていた。だがそんな雑音にめげたり、くじけたりすることなく(もちろんそういう日もあっただろう)、デビュー後も謙虚に練習を続け、今ではほかのメンバーと遜色ないほどのダンス力を得ている。JUNG KOOKは自分を限界まで追い込むことで有名だし、「筋トレ嫌い」で有名だったV(ブイ)は近年、筋トレで肉体改造に成功。そんなメンバーたちからも「練習の鬼」「グループイチの努力家」と一目置かれるJIMIN(ジミン)は、ストイックにステージに向き合うことから「ライブに魂を捧(ささ)げる男」と称される。
日本で活動を始めた頃、「リーダーだから」と言って日本語の勉強をしていたRMは、次に会った時には英語の勉強をしていた。その成果は、さまざまな海外活動や国連総会で行った流暢(りゅうちょう)な英語スピーチを見れば一目瞭然だろう。リーダーを少しでも助けたいと、年下組のJIMINやJUNG KOOK、Vの3人も英語を頑張っているという。
彼らは度々自分たちを「普通の人」と表現する。米ウォール・ストリート・ジャーナルマガジンの「2020イノベーターアワード」で音楽部門の受賞者に選ばれた時、RMは、「僕たちは音楽とパフォーマンスを愛する凡人だ」と話した。JINが《僕はただの人》(anan 2158号)と言ったのは、米国のローズボウルスタジアムで公演した数日後だった。
もちろん彼らは「凡人」でも「ただの人」でもない。だが「普通の人でいようと意識している」と感じることがある。外国にツアーに出れば久しぶりの韓国料理に喜び、楽屋でNBAの中継テレビを観ながら大きな声で歓声を上げる。普通の20代青年の生活や感情を大事にしよう。そんな気概を感じるのだ。