■スケートが一番好き
高橋:おもしろかったですね。僕はリズムダンスのツイズルでミスをしてしまって、あれで点数と順位をだいぶ落としました。でも、公式練習の仕方や衣装を着るタイミングなんかを見ていて、こういう雰囲気でやっているんだということを感じることができて、勉強になりました。シングルの時は最終グループの方が多かったので、前半グループで滑って、いろんなものを見せてもらえたと思います。
――うまくいくこと、うまくいかなかったこと。2人はそれぞれ乗り越えてきた。その源泉は?
高橋:結局、スケートが一番好きだということだと思います。1度引退して、いろいろな仕事を経験して、やっぱり自分はパフォーマンスする側にいたいと思いました。スケートがあるからこそ、自分はいろんな人やものとつながっているんだなと思って、もう一回スケートを見つめ直したくて、競技に復帰しました。その結果、今はアイスダンスをやっているわけですけど、この経験は将来自分の役に立つと思ってやっています。
村元:私も2シーズン競技から離れた時はダメ人間でした(笑)。最初の1、2週間ぐらいは楽しいんですよ。練習もしなくていいし、好きなことができるし。でも、だんだんスケートがないと、私は何をしてるんだろうと思ってしまって……。このオフも「プリンスアイスワールド」を見る機会があったんですけど、一人のスケートファンとして感動しました。やっぱりスケートが好きなんだな、と。
■集中して追い込む
――“かなだい”の未来は、どこまで続くのだろうか。
村元:あまり先のことを考えすぎると、今大切なことに集中できなくなる。私は昔からそんな感じです。これまでも一年一年やっていって、五輪につながればいいやと思っていました。もちろん、カップルを組む時は大きな目標があった方がいいんですけど、何が起こるかわからない。本当に一年一年だと思う。
高橋:とりあえず、次の1シーズン。次の五輪となると、4年ですよね。もう僕は40歳ですよ(笑)。五輪の時はまだ39歳ですけど、体的にもハードな部分がすごくあります。自分が40歳まで体をどこまで保てるかもわからないですし、先のことを考えると疲れてしまう。本当に毎日頭を使ってヘトヘトになるんです。シングルの時より頭を使うので、あんまり長く考えるよりは、1年集中して思い切り追い込んでいって、あとは流れでどこまで行けるか、ですね。
(朝日新聞スポーツ部・坂上武司)
※AERA 2022年6月6日号