ソニーは上海に工場があり、主にテレビを生産している。広報担当者は「現地当局の指示により、しばらく生産を停止していたが、5月初旬に再開し、少しずつ生産レベルを上げている」という。ただ、フル稼働には3カ月ほど要するという。

 夏を迎えるとエアコンが欠かせない。エアコンを製造販売する富士通ゼネラルは上海に工場がある。広報担当者は上海の工場も「ロックダウンの対象」とし、「エアコンはたくさんの部品を使い、一つでも欠けるとつくれなくなる」と話す。

 同社は上海だけでなく、他の国でもエアコンを生産しており、機種によって優先順位をつけて生産しているという。また、現在は在庫で対応しており、出荷が止まっているわけでないという。

 家具なども影響が出ている。関東を中心にインテリアショップを展開するコラボスタイル(川崎市)は家具を多く扱う。担当者は「商品にもよるが、物流が止まっているものもある」と話す。ただ同社は、全体としては中国以外から入荷している商品のほうが多いという。

「無印良品」のブランドを展開する良品計画でも、一部の生活雑貨に影響が出ているという。

 上海市の日系企業について、前出のジェトロの船橋さんは5月末時点で「操業再開が進んでいますが、再開できていない企業もあちこちにあり、あるいは極めて低い稼働率にとどまっているところもある。回復には遠い状況」という。

 調査会社の帝国データバンクは5月半ば、中国のロックダウンの影響について1653社にインターネット調査を実施した。それによると、ほぼ半数の48.4%がマイナスの影響があると回答した。具体的な声としては、中国から冷凍食品を輸入しているが上海から船便が出港できない、金属プレスの製品製造で中国から部品が入らなくなり完成できなくなった、などがある。

 帝国データバンクのアンケート調査で、マイナスの影響があると回答した主な業界は、卸売で60.2%、製造で57.7%、小売で49.5%などとなっている。

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