投打の「二刀流」で活躍する大谷は5月31日現在、8試合に先発登板して3勝3敗、63奪三振、防御率3.45(photo Getty Images)
投打の「二刀流」で活躍する大谷は5月31日現在、8試合に先発登板して3勝3敗、63奪三振、防御率3.45(photo Getty Images)
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 2年連続で2桁本塁打を放つなど好調の大リーグ・エンゼルス、大谷翔平。投手としても高い奪三振率をマーク。以前のような故障もなくなり試合に出続けパフォーマンスを発揮している裏には肉体改造がある。AERA2022年6月13日号の記事を紹介する。

【写真】大リーグ通算100本塁打や日米通算150本塁打をマークした大谷翔平

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 大谷は新たなステージに入っている、それは投打の結果だけではない。注目すべきは鉄人ぶりだ。

 大谷は18年からエンゼルスでプレーしているが、「ガラスの肉体」と揶揄(やゆ)する声が少なくなかった。故障で実力を十分に発揮できなかったからだ。18年は右肘の内側側副靱帯(じんたい)損傷で投手としては戦線離脱。同年オフに右肘靱帯再建手術(トミー・ジョン手術)を受けた影響で、19年は野手に専念した。20年も右屈曲回内筋群損傷で戦線離脱するなど、2試合の登板で0勝1敗、防御率37.80に終わった。19年9月に左膝蓋(しつがい)骨の手術を行った影響で、打撃も打率1割9分、7本塁打、24打点。「二刀流はやめるべきだ」と否定的な見方が多かった。

 超一流と呼ばれる選手は、試合に出続ける心身の強さも兼ね備えている。大谷が肉体改造でガラスの肉体を脱却したのが昨年だった。8月28日のパドレス戦で投球が右手首に直撃して苦悶(くもん)の表情を浮かべたが、2日後の30日のヤンキース戦で右翼フェンスを軽々と越える推定飛距離131メートルの42号ソロ。先発登板した9月3日のレンジャーズ戦では初回に打球が右手付近を直撃したものの、7回2失点で9勝目を挙げた。

 今年もヒヤリとさせられる場面があった。5月1日のホワイトソックス戦で七回に投ゴロを打って一塁へ走った際に急失速。右股関節の張りを訴えて途中交代した。だが、戦線離脱しない。先発登板した5月26日のブルージェイズ戦では初回に腰の張りを感じたまま六回まで投げた。直球に本来の威力がなく5失点で3敗目を喫したものの、28日の同戦でスタメン復帰した。

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