その後は、さまざまな番組でロケ企画に挑戦して、結果を残してきた。最近では朝の情報番組『ラヴィット!』(TBS)でも活躍している。
彼らは息の合った掛け合いを売りにしていて、デビュー当時からすでにその芸は完成されていた。2人の声も程よく枯れていて聞き取りやすく、「若手なのにベテランのような芸」とずっと言われてきた。それ自体は悪いことではないのだが「芸が古臭い」と思われてしまうという欠点もあった。
現在の彼らは、実年齢も40歳を超えて「おじさん」と呼ばれるようになり、芸風に年齢が追いついてきた。おじさんが全力で明るく楽しいコンビ芸を見せるということにもいぶし銀の味わいが出てきた。そこでようやく世間の人にも彼らの面白さが伝わるようになり、一気にブレークを果たした。
最近のお笑い界では、彼らだけでなく、錦鯉なども活躍していて「おじさん芸人の時代が来た」と言われることがある。実際は、おじさんだからウケているというよりも、安心感とかわいげがあって、確固たる実力のある芸人だからこそ評判を呼んでいるのだろう。
おじさん芸人の活躍によって「加齢は悪いことではない」というポジティブなメッセージが自然に伝わってくる。なすなかにしという器は、年月が経つほど味が出てくる至高の逸品なのだ。(お笑い評論家・ラリー遠田)