羽生結弦がアイスショー「ファンタジー・オン・アイス」に登場した。北京冬季五輪以来の演技が期待される中、情熱あふれる滑りと演出で観客を魅了した。AERA 2022年6月13日号の記事を紹介する。
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フィギュアスケートのアイスショー「ファンタジー・オン・アイス」がコロナ禍を経て3年ぶりに開催され、5月27日の千葉・幕張公演初日で、羽生結弦(27)や今年2月の北京五輪銅メダリスト・坂本花織(22)、プロに転向した田中刑事(27)らが華麗な演技を披露した。
羽生が演技を見せるのは、北京五輪のエキシビション以来96日ぶり。ショーの公式SNSでは、
「僕も全力で頑張りますので、ぜひぜひめちゃくちゃ楽しみにしてください」
と呼びかけていた。五輪で負傷した右足首の回復が心配されていたが、オープニング早々にキレ味の良い4回転トーループを決め、エネルギー全開の様子。続けてスガシカオのライブによる「午後のパレード」では、全スケーターと共に黒いラメのジャケット姿でノリの良いダンスを披露した。客席を指さししたり、手拍子をあおったりと、ファンと一体になって北京五輪後初となるショーでテンションを爆発させた。
再登場したのは大トリ。スガシカオの「Real Face」で力強いロックの世界へ観客をいざなった。
「自分が今感じていることや経験、北京五輪に立ち向かう時の気持ち、今も目指し続けている4回転アクセルへの想(おも)いを詰め込んだプログラムです」(羽生)
グレーを基調にしたフード付きの衣装で、最初はフードを被って演技を始める。激しく全身を揺らし、「退屈な夜にドロップキック」の歌詞の部分ではキックを決め、「ずぶ濡(ぬ)れになった火曜日を」の歌詞に合わせて紙コップに入れた水を頭からかぶるシーンも。予想外の演出に客席からはどよめきが起き、全身から水しぶきを放ちながら回転するシットスピンは、五輪や4回転アクセルへの情熱を放出させていくさまを具現化したようだった。