最近挑戦していることとして、

「ダンスです。振りを真似(まね)たり曲に合わせたりはできるのですが、ダンスの基礎がないので、動画とかを見ながら基礎的な練習をしています。もっといろいろな動きや表現ができるように」

 とコメント。自身の持ち技であるハイドロブレーディングやランジ、イナバウアーに加えて、ロックナンバーらしいキレ味ある動きや全身の細部にまで情熱を届かせるようなパフォーマンスで、観客を魅了した。

■フィナーレで大技披露

 そして注目すべきは、グランドフィナーレだった。各スケーターがスピンやバク転を交互に見せはじめると、羽生は衣装の胸元の襟飾りを取り外して身軽になり4回転トーループを披露。着氷した右足から左足に踏み替えて続けざまにトリプル(3回転)アクセルを跳んだ。この「4回転トーループ-トリプルアクセルのシークエンス」は、2018年に羽生が世界で初めて成功させた大技だ。しかし、超高難度にもかかわらず足を踏み替えて跳ぶため、ルール上は基礎点が0.8倍になってしまう。当時の羽生はそれでも挑戦した理由をこう語っていた。

「点数的にということではなく、自分ができる最高の連続ジャンプは4回転からの(トリプル)アクセルかなあと思った。スコアに関係なく自分がジャンプを楽しんでいる原点的なところ」

■挑戦を続ける意欲示す

 ところがなんと22~23年シーズンに向けては、ジャンプシークエンスが0.8倍から1.0倍になる改正案が、6月の国際スケート連盟総会で通る見通しになっている。これはアクセルが得意な羽生にとっては追い風となるルール変更で、トリプルアクセルを連続ジャンプの後半に入れる新しい組み合わせに挑戦しやすくなる。

 その象徴ともなる「4回転トーループ-トリプルアクセル」をこのショーで披露した意味は大きい。現役続行を示唆とまでは言えなくとも、来季以降に向けてまだまだ新しい武器を磨いていく姿勢を示した、感慨深いジャンプだった。

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