
そして片づけが終わったら、仕事中、眉間に寄っていたシワは消え、笑顔でいる余裕ができました。何をどう片づけたのでしょうか。
彼女を救ったのは“習慣化”。生活のあらゆることをルーティンにすると悩む時間が減り、毎日が軽く回り出します。片づけと一緒にやると効果的。
「これまでは意識の中で『あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ』と抱える状態がすごくしんどかったんです。無意識に動ける状況を作ったら1日にリズムが出て。計画はもともと苦手で、小学校の夏休みの予定もひと苦労でした。やってこなかったことを取り入れたらすごくよかった」
プロジェクトでは自分と家族の予定を俯瞰(ふかん)しつつ、できるだけいつ何をやるか計画を立てます。手間なのは最初だけ。なんとなくしていたタスクがパズルみたいに暮らしにはまると気持ちがいい。
彼女はゴミの日とそれまでに何をするかを全部予定表に書き出し、さらに野菜を切る、お肉に火を通しておくなど細かいタスクも組み込みました。平日は下ごしらえしておいた食材でチャチャッと食事を済ませ、お弁当も作れる。燃えないゴミの出し忘れも無くなった。
家事の習慣化で勢いができると、仕事のやり方も見直しました。
「始業の30分前に出勤していても、よくしゃべる人に捕まって準備しにくかったんです。だから45分前に変えました」
早起きは三文の徳とは言いますが、早めの出勤で予期せぬ良いことも。
「45分前だと幹部と話す機会があることに気づいて。始業後はノンストップで走り続けることもあるから、朝一番で根回ししたり、タスクを整理したり。段取りが余裕につながりました」
ポジティブなルーティンで仕事も勢いづきました。プロジェクトでのことを職場でどんどん活かしました。
「コミュニケーションのノウハウも試したんです。いまできる最善のことをやろうと。これまでは『これくらいわかって当然』と人に期待してばかり。なのに、自分の考えは言ってこなかったと気づいて。思い通りにしようとせず、話を聞き、理解することに徹しました。折り合いの悪かった人と方向性があっていきました」