これまでも、大学の学長や理事長に外部人材が登用されることはあった。例えば小泉純一郎内閣で財務大臣を務め、「塩爺」の愛称で親しまれた塩川正十郎氏は、亡くなる前まで東洋大学の総長だった。また日本電産の創業者として知られる永守重信氏は2018年から京都先端科学大学で理事長を務めている。塩川氏や永守氏のように政治家や実業家からの転身はあれど、「今回のように、組織財務や経営に携わった経験のない方が理事長となった事例は聞いたことがない」と石渡氏は話す。
経験がなくとも、日々の業務に支障はないのか。先の大学関係者は言う。
「専門知識を持った人材が周囲にいて、サポート体制がしっかりしていれば、大きな問題は生じないと思います。それよりも大切なのは、外部への発信力。日大に限った話ではありませんが、大学という世界はどうしても閉鎖的になりやすい部分がある。教育面でもガバナンス面でも、判断のプロセスを明確に説明できるかどうかが問われてくるでしょう」
就任会見で「透明性をもって、みなさんからの質問にできる限り答え、説明をしていきたい」と語った林さん。今後、学内外の人材をいかに活用し、大学を「開かれた組織」へと変えていくのか。その手腕に期待が集まる。
※週刊朝日 2022年6月24日号