メンバーズ 竹内南那子さん(24)/1997年、埼玉県生まれ。東京学芸大学卒。2020年入社。今年4月から同社カスタマーサクセスプロデューサー(メンバーズ提供)
メンバーズ 竹内南那子さん(24)/1997年、埼玉県生まれ。東京学芸大学卒。2020年入社。今年4月から同社カスタマーサクセスプロデューサー(メンバーズ提供)

 同社は企画や営業、マネジメントを担う社員の多いプロデューサー職と、エンジニアやデザイナーといったクリエーター職に分かれている。プロデューサー職の竹内さんは入社時、マーケティングに関する知識が全くなく、「自分は底辺だ」と自覚していた。このため社内の勉強会に積極的に参加。マネジメントスキルのある先輩社員をまねることに尽力してきたという。

「チームのメンバーとは年齢に関係なく、一人の人間として向き合うことを心掛けています。生き生きとした雰囲気のチームだね、と言われるのが一番うれしいです」(竹内さん)

■リーダーシップが重要

 竹内さんは学生時代、ハンドボール部の主将を務め、顧問不在のチームを牽引(けんいん)してきた経験をもつ。

 平均年齢30歳の同社は、クライアントごとに3~数十人規模のチームが50以上あり、それぞれに課長職のマネジャーを配置。20代のマネジャーは20人いるが、竹内さんは最も若い。高野明彦専務(47)は抜擢理由の一つに「リーダーシップ」を挙げる。

「私たちが管理職に求めるのは、社員の個性や創造性をフルに活用し、イノベーションにつなげるマネジメント力です。上司の号令一つでみんなが動くというよりは、社員一人ひとりが楽しく、前向きな気持ちで働きながら成果を上げられる、そんなムードづくりができるリーダーシップです」

 同社は若手登用と同時に、現場への権限移譲も進めている。

「当社は急成長しており、採用人数も毎年数百人規模に増やしています。このためピラミッド型の組織になって、いわゆる『大企業病』に陥らないよう、チーム内の多くの業務は課長決裁で完結できる制度を運用しています」(高野さん)

 若手の管理職登用は「人材育成の補助輪」と捉えている。

「私たちは小規模のカンパニーをどんどん立ち上げています。その理由は、大企業の一つの部署にとどめるよりも圧倒的に高い成長率が見込めるからです。これは個人にも当てはまり、若手にチャレンジの機会を多く与えることで、より早く、より高い成長が期待できます」(同)

■失敗許容する価値観

 日本で若手登用が進まなかった理由はどこにあるのか。高野さんは言う。

「若手管理職は優秀とはいえ、やはり未熟で失敗もします。私たちは失敗も成長につなげる大事なステップと考えています。今の日本は変化やチャレンジ、失敗を尊ばない社会になってしまいました。チャレンジを尊び、失敗を許容する価値観がもっと出てくるといいなと思います」

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