高津監督は現役時代にヤクルトの守護神として活躍。最優秀救援投手のタイトルを4度獲得し、93、95、97、01年と日本シリーズで4度胴上げ投手になっている。通算286セーブを記録し、メジャーでもホワイトソックスで04年に19セーブをマーク。韓国、台湾、独立リーグ・新潟アルビレックスでも守護神として活躍している。日本、米国、韓国、台湾の4カ国のリーグでプレーした初の日本人選手で、名球会会員が独立リーグでプレーするのは史上初だった。
ヤクルトに指導者として14年に復帰すると手腕を発揮。15年は1軍投手コーチを務め、リーグトップの救援陣防御率2.67でリーグ優勝に貢献。2軍監督を経て20年から1軍の監督に就任し、1年目は最下位だったが、昨年は投手陣を立て直して日本一に導いた。
「高津監督は適材適所で選手の可能性を引き出すのがうまい。清水昇は先発で芽が出なかったが、救援に配置転換されたことで大輪の花を咲かせた。今野龍太も楽天を戦力外になったが、質の良い直球が見出されてチームに不可欠なセットアッパーとして活躍している。巨人から昨年の開幕前にトレード移籍した田口麗斗もそうです。先発でなかなか勝ち星に恵まれなかったが、中継ぎに回って試合の分岐点になる状況で起用されることで輝きを取り戻している。巨人でも救援をやっていましたが、起用法は便利屋のイメージが強かった。本人は先発をやりたい気持ちがあると思いますが、今の役割にもやりがいを感じているでしょう」(スポーツ紙デスク)
40歳のベテラン・青木宣親、主将の山田、三冠王を狙える村上宗隆と3世代の中心選手が軸になり、塩見泰隆、山崎晃大朗、長岡秀樹、濱田太貴、内山壮真と伸び盛りの選手たちが躍動している。投手も奥川、高橋奎二、今年は木澤尚文と若い力が台頭し、チームを支えてきた左右の大黒柱・小川泰弘、石川雅規も負けじと奮闘している。熾烈なポジション争い、先発ローテーション争いが繰り広げられ、良い緊張感がチームの底上げにつながっている。
黄金時代の雰囲気が漂うヤクルト。今年もリーグ優勝に向けて死角はない。高津監督が「球界を代表する名将」と呼ばれる日はそう遠くないだろう。(梅宮昌宗)