AERAdot.編集部が主な鉄道事業者に昨年末、アンケートを実施した
AERAdot.編集部が主な鉄道事業者に昨年末、アンケートを実施した

 阪神電鉄は「車内へのカメラの設置について、国の方針や最新技術の状況などを踏まえ、可能なかぎり早期の実施ができるよう、必要となる対応について検討を始めたところです」。

 その一環として、阪神電鉄は今年5月から大阪梅田駅と新開地駅間を走る普通車両1列車で防犯カメラの設置試験を行っている(8月31日まで)。

 撮影画像と音声はリアルタイムで運転指令などに送られるほか、AI画像解析が積極的に活用される。画像と音声の保存期間は1週間程度で、自動的に削除されるという。

 実は、京王線内刺傷事件が発生した際、列車に防犯カメラは設置されていたものの、「録画専用」だったため、運転手と車掌は車内で何が起こっているか、十分に把握できなかった。それが遠因となり、停車時にホームと列車の位置がズレてしまい、ドアが開かなかった。それゆえ乗客らは車両の窓から脱出を試みた。

 今回の有識者会議では防犯カメラの録画機能については必須とするものの、画像のリアルタイム送信機能については、費用負担が大きいため、見送られる方針という。

 ただ、東急電鉄が採用しているリアルタイム送信システムは工事期間が短く、設置費用も比較的安価という。逃げ場のない「走る密室」の中で、乗客の安全を守るため、すみやかに実効性のある対策を立ててほしい。

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

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