6月17日、最高裁に入る原発避難者訴訟の原告団ら
6月17日、最高裁に入る原発避難者訴訟の原告団ら

 現在、岸田文雄自民党政権は、日本維新の会や国民民主党とともに、電力業界のために原発推進を唱えている。この理不尽な判決を見ると、自民党政権への忖度があったのではないかという疑いが強くなる。

 今回の判決で、今後は、地震による原発事故の際、「想定をはるかに超える大きな地震で、普通に考えられる対策をしていても被害は防げなかった」と言えば、責任を免れるから、原発再稼働のハードルは下がり、安全性も下がるだろう。

 また、今進んでいる約30件の下級審での同種の裁判で、国の責任が認められる可能性が極めて低くなった。さらに、原発の稼働差し止めの訴訟も難しくなる。

 時の政権に忖度し、何が正義かという最も大事な視点を欠いた判事たちが最高裁を支配していることを示した判決。この国に正義はないということなのか。

週刊朝日  2022年7月8日号から

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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