開始前のステージの様子。今年のテーマは「TRAVEL TO KOREA BEGINS AGAIN!」で、世界中に生配信された
開始前のステージの様子。今年のテーマは「TRAVEL TO KOREA BEGINS AGAIN!」で、世界中に生配信された

 午後6時、まだ日が落ちないうちに、コンサートが始まった。序盤は新人アーティストから1曲ずつパフォーマンスを披露したが、歓声から会場全体が高揚しているのを感じられる。その声がひときわ大きくなったのは、今回唯一のソロアーティスト、イ・ムジンがヒット曲「信号」を歌ったときからだった。ムジンがサビ前に「知らない人はいないよね~?」と呼びかけると、会場全体でサビの大合唱が起きたのだ。韓国では4月18日にコロナによる規制が解除され、それまで禁止されていたテチャンと呼ばれる観客の歌唱行為も解禁になった。待ちに待ったテチャン。アーティストと観客がともに歌い、一体になって盛り上がる、韓国ならではのコンサートが復活した瞬間だった。

トリを飾ったNCT DREAMの属するNCTのペンライトで黄緑色に染まった観客席。大歓声が響いた
トリを飾ったNCT DREAMの属するNCTのペンライトで黄緑色に染まった観客席。大歓声が響いた

 その後はほかのアーティストたちもMCで「一緒に歌って」と呼びかけ、大合唱の連続!直近では18年のドリコンも観覧したが、会場の熱量や一体感はそのとき以上だと感じた。3年ぶりの有観客公演に喜びを隠せないのはアーティストも同様で、コロナ禍にデビューしたグループが「こんなに人がいるのは初めてです!」とはち切れんばかりの笑顔で語っていたのが印象的だった。

 帰り際、この日のトリを務めたNCT DREAMのファンだという女子高校生2人組が、興奮冷めやらぬ様子でこう語ってくれた。
「オンラインライブと違って、声を出してみんなと一体になれるのが楽しかったです。やっぱりこれからは、オンラインじゃなくてリアルのコンサートに参加したい!」

 視察団の中には初めてK-POPアーティストのステージを生で見たという人もいた。口をそろえて言っていたのが「とてもエネルギッシュ」「全力でパフォーマンスする姿に元気をもらった」ということだった。

 コロナ禍において、K-POP界のオンラインライブやオンライン特典会への対応の素早さは目を見張るものがあった。世界中どこにいても彼ら、彼女らの存在を感じられることで、これまで現地に行けなかった人たちも取り込み、ファン層を拡大したのは確かだ。しかし、K-POPの強みは、観衆を熱狂させる生のパフォーマンスの力だと今回のドリコンで確信。すでに多くのK-POPアーティストの来日公演が行われ、ワールドツアーや世界各地での大規模イベントも続々と決定している。K-POPの快進撃は、ポストコロナも続いていく。

(執筆・写真 土田理奈/omo!)