自分の経歴を魅力的に見せる
2つのポイント

 自分の経歴を魅力的に見せるポイントの一つ目は、「再現性が伝わるようにする」ことだ。

「採用企業側は、『この人は自社に入ったときに、これまでと同じように成果を出してくれるだろうか』という点を見ています。そのため、『業績を○%アップさせた』といった具体的な実績だけでなく、なぜそれが実現できたのかという背景を分かりやすく記載することが重要です」(池野氏)

 例えば、「自分のやり方をフォーマット化し、部下が同じように成果が出せるようになった」などのエピソードがあると、採用側の企業も候補者の活躍をイメージしやすい。

数字に表れるような客観的な成果ももちろん重要だが、転職後にも同じような成果を出してくれるのかという意味では、そのプロセスがより重視されるということだ。

 また、池野氏はもう一つのポイントとして、「トレンド」に合わせた表現を盛り込むことの大切さを指摘する。

 企業の採用担当者は、限られた時間の中で多くの候補人材の経歴を見て、その良しあしを判断する。そのため、自らの経歴をできるだけ「今引っかかりやすいキーワード」に置き換えておくことが重要だ。

「例えば、大手メーカーや商社向けの営業経験者は多いですが、みなさん『エンタープライズ(主にIT業界で大手企業を指して使われる言葉)』という表現はあまり使っていません。また、顧客と共により良い製品やサービスをつくるという意味で、メーカーの営業担当者などは『カスタマーサクセス(商品・サービスの販売にとどまらず、顧客のビジネスの成功を支援すること)』を当たり前のように実践していますが、そう表現している人は少ないです」

「自分のやっている仕事やこれまでの経験が今世の中でどのように表現されているのかを認識しておくことは、経歴を魅力的に見せる上で大切なことです」(池野氏)

「自動車業界への営業を10年やってきた」という経験も、「エンタープライズ」や「カスタマーサクセス」といったキーワードを使えば、より幅広い業界にアピールする材料になりそうだ。

 また、同じ業界での経験が長い人は、業界内でしか伝わらないアピールの仕方になりやすく注意が必要だ。

 例えば、「利益率を1%向上させた」という場合、業界内ではすごいことでも他の業界から見るとそのすごさが伝わらないことがある。業界の平均的な利益率を併せて記載するなど、他業界の視点で成果を評価できるように書くことも重要なポイントだ。

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