「東大経済学部4年生のOです。私は浦安出身で、ディズニーランドが好きです。中でもディズニーのパレードを見るのが大好きなのですが、みなさんはパレードを見るためにずっと待ってる人たちを見たことがありますか? あの人たちのことを『地蔵』と呼ぶんです。私は地蔵をしながら受験勉強をして、東大に入りました」
こんな自己紹介をされたら、誰も彼女のことを忘れないでしょう。その場にいる全員が共有できるディズニーランドの話があり、そこでパレードを待つ人を「地蔵」と呼ぶという未知の情報の提供で興味をひき、その中で地蔵をしながら勉強したというオチまで入っているのですから。初めて聞いたときは「うまいなぁ」と感心したものです。
「自己実現」という言葉を口にする人は少なくありませんが、「自己を実現」するより前に「自己を紹介」できるようになるほうが自分の価値を上げることにつながります。自分の価値を決めるのは、自分ではなく他人だからです。
たかが自己紹介、されど自己紹介です。人に強烈なインパクトを残せる自己紹介ができれば、数学的にいえば「初期値」が大きく変わり、それによって最終的な結果もまったく違うものになるでしょう。
ですから、東大金融研究会では自己紹介の訓練ができるよう、新しいメンバーが入ってきたときはなるべく講演後の時間にみんなで自己紹介する機会をつくっています。
最初はイマイチでも、何度もトライするうちに自己紹介がうまくなっていく人をたくさん見てきました。そういった人ほど人気企業に内定していくものです。
(本原稿は、伊藤潤一著『東大金融研究会のお金超講義 超一流の投資のプロが東大生に教えている「お金の教養と人生戦略」』から一部抜粋・改変したものです)