自民党の麻生太郎副総裁
自民党の麻生太郎副総裁

 まずは、増税。ただでさえ国の借金が膨らみ続ける中、防衛費の大幅増が待ち受ける。安倍氏は「国債発行で対応していけばいい」と主張していたが、「財政再建派」の財務省と近いとされる岸田氏、麻生氏が容認するとは考えづらい。内閣官房に出向している経済官庁の中堅官僚が指摘する。

「物価高騰への対策が思うようにいっていない。インフレが急加速すればいよいよ金融引き締めに追い込まれるが、そうすると国債の金利が上昇して財政が一気に悪化する恐れもある。そんな状況下で、さらなる赤字国債の発行なんてできない。新たな財源の確保には消費増税しかない」

 ただ、消費増税をすれば国民の受ける衝撃は大きく、政権を揺るがす事態になりかねない。そこでささやかれているのが、こんな「裏技」だという。

「東日本大震災の後、所得税などに上乗せして期限付きの『復興特別税』が徴収されています。今後、コロナ禍が終息した後、『新型コロナ復興特別税』といった名目で、期限付きの新たな税をさらに上乗せして徴収するとの見方が広がっています」(前出の中堅官僚)

 もう一つ、岸田政権が取り組む可能性が高いと思われるのが改憲だ。

 参院選後、自民党、公明党に日本維新の会、国民民主党も加えた「改憲4党」の勢力は衆参両院で3分の2を超え、国会での改憲の発議に必要な議席を確保している。ある政府関係者はこう語る。

「元来、ハト派の岸田首相にとって改憲の優先順位は低かったはず。しかし、目玉政策の『新しい資本主義』が看板倒れに終わりそうな中、改憲を実現すれば、教科書に載るほどのレガシーを得られる。参院選の結果、衆参で3分の2の議席を得たこともあり、岸田首相の中での改憲意欲は高まってきているでしょう」

■北側氏の腹案に自民も一部賛同

 ただ、改憲論議はここに来て、思わぬ方向に走り始めている。

 自民党はこれまで、災害や戦争、テロなどの重大事態の際の対応を強化する「緊急事態条項」創設を念頭に、衆参の憲法審査会で議論してきた。

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