「まだまだ未熟な自分ですけれども、プロのアスリートとしてスケートを続けていくことを決意いたしました」
「競技者として他のスケーターと比べ続けられることはなくなりました」
7月19日17時すぎ、フィギュアスケート男子の羽生結弦(27)が東京都内で会見を開き、競技者としての第一線から退くことを表明し、プロに転向する決意を明らかにした。
2011年11月に週刊誌「AERA」の表紙を飾った羽生。撮影当時は16歳。まだ、あどけなさが残る表情を見せた。
だが、そのインタビューでは力強くこう語った。
「王者になる。まずそう口に出して、自分の言葉にガーッと追いつけばいい」
ここでは、その当時のインタビューを紹介する。
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線の細いしなやかな体つき。女子顔負けの柔軟性。そしてあどけない笑顔。思わず「可愛い」と言いたくなるが、口を開けばキャラは一転。
「『いい演技をするのが目標』なんて謙遜する選手が多いけど、完璧な演技で負けたら屈辱的でしょ! 僕は勝ちたい」
この潔さが心地いいのだ。
快進撃の始まりは12歳。全日本ジュニアで3位となり、15歳でジュニアの世界王者に駆け上がった。シャイな日本男子の中では珍しい、演技に入り込む表現派。シニアデビューの昨季は、試合で4回転ジャンプも成功させた。
原動力は負けん気だ。2010年11月のロシア杯。世界最高のスケート技術を持つと言われるパトリック・チャンと一緒の練習で、とった行動は「追跡」。滑る軌道やエッジの使い方を盗むためだ。
「王者に勝てば自分が王者。だからまねして滑ったんです」