ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって約4カ月。日本に避難してきたウクライナの人たちは1400人を超えた(6月29日現在)。避難生活が長期化する中、多くの団体や自治体や企業が、続々と支援の手を差し伸べている。
例えば、東京都新宿区は1人月5万円の生活一時金を最長3カ月、横浜市は1人月10万円の支援金を3カ月、大阪市は1世帯に50万円の支援金を支給する。さらに、全国の自治体は就労支援や住宅支援などを行っている。
日本政府も2月下旬のロシア侵攻後に素早く支援を表明した。ウクライナからの避難民を90日間の「短期滞在」資格で入国させ、1年ごとの「特定活動」に切り替え更新も可能とした。特定活動は在留資格の一つ。与えられれば、住民登録ができ国民健康保険加入などの行政サービスを受けられ働くことも可能だ。さらに4月、政府は紛争地から逃れた人を難民に準ずる形で「準難民」として保護する法律の整備を急ぐ考えを示した。これまでにない迅速な対応だった。
■「難民鎖国」の日本
だが、こうした動きを、同じように助けを求め来日しながら難民として受け入れられず、国からも自治体からも支援を受けられない人たちは、その違いに「差別」と感じているのだ。
日本は、難民認定数が諸外国と比べ異常に少なく、国際社会から「難民鎖国」とも批判されている。出入国在留管理庁によれば、21年は2413人の難民申請があり、難民と認定されたのはわずか74人。近年は、年に1万人前後の申請に対し認定は40人余。主要7カ国(G7)の各国が年に数千~数万人を受け入れているのに対し、ケタ違いに低い数字となっている。
蕨市を中心に活動するクルド人の支援団体「在日クルド人と共に」代表理事の温井立央(たつひろ)さんは言う。
「ウクライナ避難民への支援は必要だと思います。しかし、同じように祖国から逃れ日本に来ているクルド人にも支援も行うべきです」