そうこうするうちに、ロシアのウクライナ侵攻が、エネルギー供給の不安定化をもたらすという事態が出現した。原発推進派にとって、実に恰好の便乗材料だ。輸入依存度を低めるためには、原発推進が頼りになる。そう言える。彼らは、これで神風が吹いたと思ったかもしれない。姑息さの裏側には、これくらいのはしたなさがへばりついていて不思議ではない。

 第三の便乗が、安倍晋三氏の国葬だ。要人暗殺という暴挙を許さない。この国民感情に乗っかって、ここでも、まともな議論なく、国葬に踏み切った。

 この先、さらにどんな便乗商法が飛び出してくるだろう。目を光らせておく必要がある。

浜矩子(はま・のりこ)/1952年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業。前職は三菱総合研究所主席研究員。1990年から98年まで同社初代英国駐在員事務所長としてロンドン勤務。現在は同志社大学大学院教授で、経済動向に関するコメンテイターとして内外メディアに執筆や出演

AERA 2023年1月23日号

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浜矩子

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浜矩子(はま・のりこ)/1952年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業。前職は三菱総合研究所主席研究員。1990年から98年まで同社初代英国駐在員事務所長としてロンドン勤務。現在は同志社大学大学院教授で、経済動向に関するコメンテイターとして内外メディアに執筆や出演

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