※写真はイメージです
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 子宮内膜症、子宮筋腫、乳がん、子宮体がんなど、婦人科系の病気が増えている今、定期的に「検診」を受けるなどし、自分の体の状態を「知る」ことが重要になっています。自分の体を知ることは、人生を前向きに考えるための第一歩。今回は女性が自身の健康を守る方法について、対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿理事長の対馬ルリ子先生にお聞きしました。前編・後編にわたってお伝えします。(セルフドクターWebより転載)

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妊娠・出産回数が、婦人科系の病気に影響している

 現代の女性のライフスタイルは、一昔前の女性と比べ、大きく様変わりしています。女性の社会進出が進み、一人の女性が産む子どもの数は戦後すぐの頃が平均4.5人だったのに比べ、現代は平均1.4人と激減しました。実はこうした背景が婦人科系疾患を増やす一因になっていると、対馬ルリ子先生は言います。

「出産回数が減った現代の女性は、昔の女性よりも月経回数が増えています。排卵や月経は子宮や卵巣、乳房に大きな負担をかけるため、月経回数の増加に伴って、婦人科系疾患も増えてきているのです」

 子宮や卵巣、乳房は、本来は妊娠や出産を成就するための臓器です。ところが妊娠・出産回数が少ないと、子宮内膜が他部位で増殖しやすい状態となり、子宮内膜症などの婦人科系疾患を引き起こす原因となっています。

 子宮内膜症は10代から起こり、20代、30代と月経を重ねるごとにひどくなっていきます。その子宮内膜症が卵巣に発症した場合、妊娠しにくい状況になったり、40代以降では卵巣がんが発症する率が高まったりし、気づいた時には取り返しのつかない状態まで病気が進行しているケースも見られるようです。

健康で元気に歳を重ねるために

 今でこそ日本は世界で一、二を争う長寿国となっていますが、戦前の平均寿命は50歳にも至りませんでした。戦後に50歳を超え、今や女性の平均寿命は約87歳。多くの女性が90歳まで生きる時代になっています。一方で、女性の「健康寿命」は約74歳で、平均寿命との差は約13年もあります。健康寿命とは、介護を受けたり病気で寝たきりになったりせず、自立して健康に生活できる期間を示すもの。つまり女性は、人生後半の13年間を要介護や寝たきりの状態で過ごしていることが分かります。

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健康寿命を延ばすために必要なこととは