人生の後半になると、骨粗鬆症や関節疾患、筋肉や関節の脆弱化などQOL(生活の質)を下げるような疾患が増える傾向に。更年期世代は、30年先、40年先のことを考え、そういった疾患への対策をとる必要もあるでしょう。
女性ホルモン剤を使うという選択
避妊薬として知られているピル、更年期対策に使われるホルモン補充療法(HRT)は、いずれも「女性ホルモン剤」で、女性ホルモンの量を調整する作用があります。女性ホルモンをコントロールできるので、月経や更年期に伴う不調の改善に活用されています。また、病気の予防効果も実証されています。ピルを服用することで卵巣がんのリスクは最大7~8割減り、子宮体がんは5~6割減ることが分かっています。HRTは女性の死亡率が高い大腸がんや骨粗鬆症の予防にも、その効果が実証されています。
ピルやHRTは、健康や美容に大きなメリットをもたらすものとして海外では女性が当たり前のように活用しているもの。日本は世界から40年も遅れて認可されましたが、今でも正しい理解が浸透していないようです。
「女性ホルモンは女性の気分や体調を大きく振り回し、仕事や生活に支障を来すなどして、女性の自信を失わせてきた側面もあります。ピルやHRT はどんどん進化しています。科学の力と工夫で、女性は自分の体ともっと上手につき合うことができます。妊娠・出産も、仕事も、更年期も、その後に続く長い人生も、女性ホルモンをコントロールすることでクオリティが変わるのです」と対馬先生。女性ホルモンと上手につき合うスキルを磨き、人生をますます輝かせていきましょう。
後編はこちら→乳がんや子宮がんなどの重大な病気ほど初期症状がない! 女性こそ「検診」を受けてほしい
監修/対馬ルリ子先生(つしま・るりこ)
対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座·新宿理事長。産婦人科医·医学博士。弘前大学医学部卒業後、東京大学医学部産婦人科学教室助手、東京都立墨東病院総合周産期センター産婦人科医長などを経て現職。女性のための総合医療を実現するために、情報提供、啓発活動、政策提言などを行っている。日本女性財団代表理事。
対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿HP
日本女性財団HP