昨年から続くコロナ禍で、働き方に大きな変化が生じたことで、家庭での過ごし方や生活スタイルが一変したという人は少なくない。それによって今、夫婦の関係はどのように変化しているのか。最新の調査結果とコロナ禍の夫婦の現状を紹介。識者の解説とデータから夫婦関係を良好に保つコツを探った。
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昨年、第一子を出産した専業主婦のAさん(35歳)。コロナ禍で、会社員の夫は自宅で仕事をすることが増えた。夫は子育てに協力的。だが、ワークスタイルの変化はAさんの子育てにも影響し、自宅で気を遣うことが増えた。
「夫はリモート会議がとにかく多いのです。会議中に赤ちゃんが泣き出さないよう、必死であやしたり寝かしつけたり、神経をすりへらす毎日にクタクタです」(Aさん)
リモートワークで夫が常に家にいるようになり、妻の心理的な負担や家事が増えたというケースはめずらしくない。Aさんと同じく夫が自宅で仕事をするようになったパート勤務のBさん(44歳)は、こう不満を吐露する。
「夫は週1回の出社以外すべてテレワークになったが、私の週4日パート出勤は変わらず。なのに、夫は家事は今までどおり私の役割と考えているのが不満。子供の宿題はみてくれても、家事は自分から手伝ってくれないので私の負担ばかり増え、息抜きの時間もなくなった」(Bさん)
一時“コロナ離婚”という言葉も注目を集めたように、コロナ禍の生活の変化は夫婦関係に悪影響を及ぼすものと考えられていた。だが、実際には逆の声もあった。共働きのCさん(30歳)の場合、夫婦ともどもテレワークだ。
「家事は2人で分担。一緒に過ごす時間が増えて、夫婦間の結束も強くなったと思う」
Aさん、BさんとCさんの差を生み出しているのは何か。夫婦の事情はそれぞれといえども、最新の調査にこの差を読み解くカギがあるかもしれない。
■ 専業主婦世帯は夫と妻の満足度に開き
「夫婦関係調査2021」(リクルートブライダル総研)によれば、夫婦関係に満足している割合は4年前と同水準の67.2%。全体でみれば、それなりに満足という数字に変化はない。しかし、その内情は、夫婦の勤務形態の変化が「夫婦関係の満足度」に大きく影響しているようなのだ。