次に理学部のランキングを見てみよう。1位は上位ランキング中唯一の女子大である日本女子大だ。



 財務部長の岡本宏一さんは次のように話す。

「学費は初年度だけでなく、4年間平均してバランス良く設定しています。特別安くしようと思ったわけではなく、大学経営がうまく回った結果。教育環境や質に見合った学費に設定しており、保護者の方にも賛同を得ています」

 他学部の経営状況も良好だという。

「学費も大学選びに影響していると思いますが、そもそも理学部のある女子大は少ない。本学は女子大を志向する、理学部志望者の受け皿になっているのでは」(岡本さん)

 同大の特徴は少人数教育。実験や実習は「男子学生に遠慮することもなく、全員が密に関わるため、高い技術が身につく」(同)という。

 今年で創立120周年を迎える同大は、カリキュラムの充実などの改革に伴い、理学部の年間の授業料を10万円程度値上げする予定だ。

「それでもまだ、他大学と比べて安いほうだと思います。学費を上げたからには、いっそう教育の質と設備を充実させていきます」(同) 

■医学部1位の順天堂大 学費を下げ難関化

 理系学部のなかでも、特に初年度納付金が高額になるのが医学部だ。そのなかで最も低い順天堂大は、1年次の授業料や施設設備費などを安く設定しており、2年次以降の支払額と差を設けている。同大は2008年に6年間の学費を900万円値下げした結果、受験生が増え、難関医学部となった。

 医学部では、東京女子医科大が今年、6年間の学費を1200万円値上げしたことが話題になった。総額は4621万4000円だ。メディカルラボ情報研究所所長・山本雄三さんはこうみる。

「東京女子医科大は日本で2番目に学費が高い大学となりました。昨年に比べて志願者が3割減ったのは、学費値上げの影響とみて間違いないでしょう」

(柿崎明子)
AERAムック『就職力で選ぶ大学2022』より

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