高温多湿の夏は、まだ始まったばかり。心も体も元気に夏を過ごすため、薬膳の知恵を活用してみてはいかがでしょうか。薬膳というと、何か特別な物を食べなければいけないと思われがちですが、そんなことはなく、薬膳の食材は、私たちの身近にあふれています。夏バテや、紫外線による肌老化の予防に薬膳の力を! 今回は国際薬膳調理師の清水朝子先生に、薬膳的インナーケアのポイントをお聞きしました。(セルフドクターWebより転載)
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■薬膳は全然難しいものではない
薬膳というと、薬のような物を使った食事のメニューと思っていませんか? 薬膳では全ての食材が「生薬」であり、その性質・効能を見極めながら季節や体調に合った食事を作ることを基本としています。つまり、私たちがスーパーで買う食材も生薬で、その効能を把握して使えば立派な薬膳になるのです。コンビニのおにぎりを選ぶ時に、「今日はたくさん汗をかいたから具は梅干しにしよう」「貧血気味だからサケにしよう」というのも薬膳。こう聞くと薬膳がぐんと身近なものになりませんか?
薬膳には「身土不二(しんどふじ)」という言葉があり、私たちの体は自然と一体だからこそ、自分が生活している土地で作られた作物を食べることが体にとって一番よいと伝えています。例えば東京に住んでいる人は、海外から輸入した野菜より、身近な関東圏で育った野菜を食べるとよいのです。この身土不二の考え方は食材を選ぶ大事なポイントになります。
■夏は黄色い食材で「脾(ひ)」を守ろう
五行表(※表1)をご覧になったことはありますか? 薬膳のベースになっている東洋医学では、自然界の全てのものは「木・火・土・金・水」の5つの要素に分けられ、お互いに助けたり(相生/そうせい)、抑制したり(相克/そうこく)しながらバランスをとっていると考えられています。表を見ると分かるように、季節や体の機能(五臓)、食材などがこの表の中に当てはめられていますね。この表1つで、その季節に、体のどこに気をつけ、何を食べたらよいのかなど、多くの情報が得られます。