コロナで大打撃の音楽業界。しかし、横山は「意外と冷静に受け止めてはいた」と話す(撮影/高橋奈緒・写真部)
コロナで大打撃の音楽業界。しかし、横山は「意外と冷静に受け止めてはいた」と話す(撮影/高橋奈緒・写真部)

――新型コロナウイルスの影響で、昨年は多くのライブハウスが閉店し、音楽イベントも中止が相次ぎました。横山さんは、そうした音楽業界の状況をどう感じていましたか?

 ライブに関しては、残念ですけど、「そりゃ、できないよな…」って、意外と冷静に受け止めてはいましたね。あんな密な現場は他にはないですし、「究極の三密」ですからね、ライブって。これは、いくら情に訴えかけても、今は絶対無理だろうなと感じてはいました。ライブハウスは、今、ほんとうに厳しい状況です。僕の知り合いのライブハウスも、今のところ、まだ何とか耐えていますが、このままの状況が長引けば、いつかは無くなってしまうかもしれない。それを考えるとつらいです。でも、もしそうなったとしても死ぬわけじゃない。僕の仲間はきっと、そうなったらなったで、前を向いて、新しい別の何かやってくれるだろうと信じています。それに、もし仮に、日本から、すべてのライブハウスがなくなったとしても、また何か別の「音楽の鳴らし方」を考えていけばいいだけです。音楽家として、それしか手はありませんから。

――ライブハウスだけじゃなく、バンドもつらい状況ですよね?

 そのとおりですね。今は、もうCDが売れなくなった時代なので、バンドの主な収入はライブなんです。だから「ライブできない=収入ゼロ」なんですよ。コロナがなければ、もうとっくに売れているバンドもたくさんいたと思います。正直、売れていないバンド、つまりお客さんが入らないバンドは、ライブができていたりもするんですよ、自然と密にならないので。今、ようやく人気に火がついてきたっていうバンドこそ、つらい状況なんじゃないかなと思います。

――今は、ライブだけじゃなく、SNSなど、いろんな音楽の発信方法があります。配信ライブも定着してきました。しかし、やはり「生」のライブじゃないと味わえないものもありますよね?

 それは、大いにありますね。YouTubeでもライブが見られる時代になりましたけど、やっぱり「生」にかなうものはありません。本当に大きい音を生で聴くと、体にガンって音が当たるのが分かるんですよ。空気が当たるというか、何か空気鉄砲を食らったような感じ。そんな体感ってライブ以外では絶対味わえません。視覚的にも360度どこを見たっていいわけですし、PCやテレビのあんな小さい画面とは全然違います。目や耳を駆使して、いろんな情報をキャッチすることができるんです。僕も大好きなバンドの歌を、生で聴いていて、涙が出たことは何度もあります。あの体感は、一生忘れられない。だから、この先、カタチは変化するかもしれないですけど、「生」のライブっていうのは絶対なくならないと思います。今、ライブハウスやバンドの状況は厳しいですけど、くさらずにやっていけば、いつかは絶対に道があるはずです。僕あちこちで言ってるんですが、いくらテクノロジーが発達しようとも、文字や写真のようには体感ってコピーできないですから。

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