また公立大では看護系が、私立大では女子大が目立つ。公立大の1位は千葉県立保健医療大、2位は敦賀市立看護大、3位は同率で岐阜県立看護大、山形県立米沢栄養大。私立では、大規模大学では兵庫の武庫川女子大の現役生比率が高いほか、愛知の椙山女学園大、広島の安田女子大も同様だ。
この傾向は、女子学生が浪人を避ける傾向があることが関係していると奥村さんは見ている。
「看護系の学生は今もほとんどが女性です。かつては短大や専門学校で、近年、4年制大学に変わったというところも多く、浪人して入るという認識があまりないのだと思われます。また、やはり女子は浪人を避けるべきという社会観念が強く残っていることが、一番の理由だと思います」
私立の学年定員1000人未満の小規模大学では、現役生比率が100%というところもある。桜花学園大、九州国際大、至学館大などだ。
奥村さんは、大学によって異なる現役生比率について、こう分析する。
「“選抜型大学”と“募集型大学”という区分けをすれば、後者の大学は浪人してでも入ろうという学生が少なく、現役生比率が極端に高くなるのかもしれません。もっとも現役生だけのほうが、大学側も学生のレベルを把握しやすく、運営しやすい面もあるかと思います。一方で、リカレント教育(社会人になってからも大学で学ぶこと)を推進する国の方向とは逆行しているという見方もあるかと思います。欧米の大学では、二十歳前後の若者しか大学で学べないという固定観念はなく、年齢の多様性も重視しています」
現役生が少ない大学は、難関でブランド力のある大学はもちろん、人文・社会・自然科学・医歯薬・芸術系など、さまざまなことを学べる総合大学が多い。多様な人材を集める大学と言えるのかもしれない。
(文/白石圭)