1位は東京芸術大で50.7%。入学者のおよそ2人に1人は既卒生で、飛び抜けて現役生の比率が低い。独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が公表する大学基本情報によれば、同大の2020年入学者に占める19歳以上の割合は、音楽学部で約30%、美術学部では約80%にも及ぶ。

「美術学部と音楽学部で事情はまったく異なります。音楽学部は在学してからコンクールを目指したりしますが、美術学部では、とくに絵画科などのファインアート系は何年も技術を磨いて合格する多浪生も珍しくありません。また、数人ですが30歳以上の大人が入学していることも特徴で、なかには60代の入学者もいます」(奥村さん、以下同)

 同大出身者は各界で活躍している。野村萬斎、坂本龍一、葉加瀬太郎、King Gnuのボーカル・井口理とギター・常田大希、マンガ大賞2020を受賞した『ブルーピリオド』の作家・山口つばさなどがいる。

 2位は北海道大で62.6%。同じく難関国立大である東京大は67.9%で10位、京都大は63.5%で4位なので、それよりも現役生の比率は低い。なぜなのか。

「2010年までは前期日程の合格者の5割以上が道内出身者だったのですが、この2、3年、その数字が4割を切っている。つまり本州からの人気が高まっているのです。旧帝大のなかでは入試の難易度も手頃で、難関国立大を狙っているが東京大や一橋大、東工大、東北大などは難しいという本州の浪人生の選択肢に入りやすいのだと思います」

 3位は滋賀医科大で63.2%。もっとも、総合大を含めた医学部全体でみると、滋賀医科大の数字は突出しているわけではないと奥村さんは言う。医学部は浪人して目指す受験生も多いからだ。

「たとえば、九州の国立大医学部で、現役生比率が2割前後のところもあります。しかし、人口の多い関西圏にあり、志望学生が集まりやすく、ほかの難関国立大医学部よりは比較的入りやすいという要素から、これ以上浪人したくないという人の“最後の選択肢”として選ばれているのではないでしょうか」



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理系浪人生の“受け皿”・東京理科大