からあげの市場規模は1千億円を超える。シンプルなからあげから、ソースやみそを使うものまで多彩だ(写真/文田信基 fort)
からあげの市場規模は1千億円を超える。シンプルなからあげから、ソースやみそを使うものまで多彩だ(写真/文田信基 fort)

 からあげ人気が止まらない。鶏肉を揚げたシンプルな料理のはずなのに、下味だったり、衣だったり、バリエーションは驚くほど豊富。茶色い肉の塊はなぜ我々の心をつかむのか。AERA 2021年5月24日号から。

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 サクッとした衣にかぶりつくと、ジューシーな肉汁があふれ、口内にうまみが広がる。

「結局これが最高って思わん?」

 ビール片手にそう話すのは、都内の会社員女性(28)だ。学生の頃から人気の飲食店を訪れては、見栄えもするおしゃれな料理を食べ歩いてきた。けれども、茶色一色のからあげは別格だ。

「アヒージョやバーニャカウダも好きだけど、からあげは安定感があるなって」

※写真はイメージです(gettyimages)
※写真はイメージです(gettyimages)

 からあげ人気が堅調だ。街を歩けば、からあげ専門店がそこかしこに。さらには、甘辛いたれをからめた「ヤンニョムチキン」(韓国)や、五香粉やスパイスの香りがたまらない「ザーチーパイ」(台湾)など、国際色豊かな店も目に入ってくる。

 調査会社の富士経済によると、からあげをメインに提供するイートイン、テイクアウト店の市場規模は、2019年の853億円から20年は23.1%増の1050億円に拡大する見通しだという。

■地域で個性豊かに発展

 このからあげブーム、にわかに沸き立ったかのように思えるが、実は10年ほど前からじわじわと広がりを見せている。日本唐揚協会の八木宏一郎さん(45)はこう話す。

「大分県の中津発祥のもり山や宇佐のとりあんが09年に東京進出し、大分系のからあげ専門店のブームが始まりました」

 ももやむね、骨なしに骨あり──。多彩な部位と揚げ置きせずにオーダーを受けて作るスタイルが人気を集めた。しっかり漬け込んだ濃い味に、薄衣で大ぶりピースが大分系の特徴だ。

「以前は鶏肉の量は1個あたり25グラムと小ぶりでしたが、大分系は35グラム前後と少し大きい。さらに、衣の割合も30%から10%と薄衣になりました。大分系の人気を受け、コンビニと専門店がタイアップしたり、冷凍食品や総菜もおいしいものが次々に登場。ハイボールとからあげのハイカラブームなど、トレンドが移り変わりながらブームが続いています」(八木さん)

 ひとくちにからあげと言っても、その実態は多彩だ。前出の大分系以外でも、たとえば、骨付きのぶつ切り鶏に甘酸っぱいタレをつける「ザンギ」(北海道)や、カレー粉をまぶした鶏の半身をまるごと揚げる「半羽揚げ」(新潟)など、地域によってさまざまなバリエーションがある。

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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