コロナ禍で旅行がままならないなら、胃袋だけでも満たしたい。科学する料理研究家で『激ウマ!から揚げレシピ』の著書もあるさわけんさん(53)に自宅で作れる六つのご当地からあげレシピを伝授してもらった。
まずは、からあげの基礎知識から。さわけんさんはこう説明する。
「からあげは中国からきた料理で、下味をつけて片栗粉をまぶし、油で揚げるシンプルなものです。日本に広がる過程で片栗粉が小麦粉になったり、しょうゆや塩のほか、その地域の土着料理として変化していきました」
「中国料理のからあげの形をよく残している。衣はカリッとしていて身はジューシー」(さわけんさん)「ザンギタレをつけて味変もオススメ」(記者)
北海道の名物「ザンギ」もその一つだ。
「中国で鶏のからあげを意味する炸鶏(ザージー)に由来しているとも言われています。骨付きのぶつ切り肉にしょうゆ、こしょう、卵、小麦粉、タレをすべて混ぜ込み、下味の段階でよく漬け込むのがポイントです」
タレ由来の濃厚な味わいと、卵を吸ったてんぷらのように分厚い衣が特徴だ。骨の際まできちんと火を通すことが大切だという。これに甘辛いタレをつける食べ方もあるというから、奥深い。
■「失敗したかも」が正解
さらに濃い味好きにオススメなのが、栃木県の新名物「佐野黒からあげ」だ。栃木のご当地グルメといえば佐野ラーメンといもフライがすぐに思いつくが、第3の名物となることを目指して17年に開発された、からあげ界のニューフェイスだ。
「ソースの味と香りがしっかりして美味しい。衣がザクザク!」(さわけんさん)「ビールが飲みたくなる!ソースがクセになる!」(記者)
黒々とした見た目は、インパクトも十分。ガリッとした分厚い衣は歯ごたえがあり、肉にはソースがよく染みて、ビールもぐいぐいすすむ。ううむ、このからあげ、侮れない。
「佐野黒からあげは肉にソースをたっぷり含ませることが重要です。ソースがべちゃっと余って、『失敗したかも?』と思うくらいで正解。それを片栗粉の衣で固めます」
今回、唯一、鶏のむね肉を使った千葉の「みそピーからあげ」も、地域性を色濃く感じられる逸品だ。千葉県民には給食でおなじみ、ピーナツ味噌とからあげのコラボレーションは、おそるおそる口にすると、ねっとりとした味噌の甘みとピーナツの香ばしさがからんで、意外と白飯に合いそうな気がする。