(C)山本昌男
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写真家・山本昌男さんが作品集『小さきもの、沈黙の中で』(青幻舎)の内容を一部改訂し、新装版として出版した。デビュー以来、約20年間の代表作が収められている。山本さんに聞いた。

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 山本さんは谷川俊太郎の詩が好きという。

「雲を見ていると、雲を見ている自分がいるな、というのはなんとなくわかるんだけれど、いったい自分はなぜその雲を見ているのか、わからない。後から、ああ、こんな気分だったのかな、とか。撮りたかった気持ちがわかるというか、思い出せる。そんな感じで撮影している。その程度のことであって、この作品はこういう意味があるとか、こう見てほしいとか、ほとんどない」

 山元さんは自分の作品について、率直に「よくわからない写真」と言う。

「要するに文学的な写真であって、社会性は一切ない。昔から『意味による武装』と言っているんだけれど、コンセプチュアルアートの、これがこうで、いまこれを撮ることに意味があるとか、そういうことはあまり言えないし、好きではないですね」

(C)山本昌男
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■物語をつくる感じで編集

 この写真集は2015年に刊行した内容を一部改訂したもので、デビュー作「空の箱」(1993年)から「浄(しずか)」(2014年)まで、代表作94点を収録している。

 そのつくりは、「まぜこぜになっている」と言う。

「もう一回、カテゴライズして、物語をつくる感じで編集し直した。でも、撮ろうとしたものはそう変わらなくて、まあ、ほとんど一緒ですね」

 さらに、「ある意味、わかりやすくした」、とも言う。

 ほんとうにそうだろうか? 疑問を呈すると、「(掲載作品を)インスタレーションとして発表していた当時は、もう『何でもあり』だったので、それからすると、わかりやすい」と説明する。

「インスタレーション」というのは展示方法も含めて作品化する手法で、初期の「空の箱」「中空」シリーズなどでは、日本の何げない風景をインスタレーションで見せていた。

 その「散歩写真」(山本さんはそう呼ぶ)を、写真集を開き、一つひとつ説明してくれる。

「これは刑務所の壁なんですよ。交通刑務所。しゃれてるでしょう。こっちはおばあちゃんが桜の木にそっと手をかけているところ。もう、いい感じですね」

 出かける際はいつもカメラを手にしていたそうで、35ミリ判カメラでは「28~300ミリで撮ることが多い」と言う(「高倍率ズーム」と呼ばれる便利なレンズで、これ一本で大抵の被写体に対応できる)。

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「俺のインスタレーション、わかってねえな」