国鉄越中島貨物線を走る蒸気機関車牽引の下り貨物列車。1960年代は江東区でも蒸気機関車が活躍していた。右側の線路が汽車製造会社東京製作所の引込線。小名木川(2000年廃止)~越中島(現・越中島貨物)(撮影/諸河久:1965年12月9日)
国鉄越中島貨物線を走る蒸気機関車牽引の下り貨物列車。1960年代は江東区でも蒸気機関車が活躍していた。右側の線路が汽車製造会社東京製作所の引込線。小名木川(2000年廃止)~越中島(現・越中島貨物)(撮影/諸河久:1965年12月9日)

 最後のカットが越中島貨物線を下る国鉄貨物列車。新小岩機関区の68626号機が背向で列車を牽引していた。炭水車上に構内入換手を兼ねた前方監視員が添乗している。画面右側の線路が、小名木川貨物駅に繋がる延長約600mの汽車製造会社の引込線で、右側に位置する東京製作所構内に線路が伸びていた。電化されているのは電気車の試運転線を兼ねていたのだろう。機関車の先に見えているガーターが砂町線の跨線橋で、この下を都電が走っていた。

「南砂町の専用軌道」から都電の轍音が消えたのは、奇しくも汽車製造会社東京製作所が閉鎖された1972年のことだった。

■撮影:1965年12月9日

◯諸河 久(もろかわ・ひさし)
1947年生まれ。東京都出身。写真家。日本大学経済学部、東京写真専門学院(現・東京ビジュアルアーツ)卒業。鉄道雑誌のスタッフを経てフリーカメラマンに。著書に「都電の消えた街」(大正出版)、「モノクロームの軽便鉄道」(イカロス出版)など。2021年1月に「185系特急電車の記録」をフォト・パブリッシングから上梓した

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