ああ、シンゴジラがこっちにやってくる
展示の出だしはチョウ。「イシガケチョウ」という熱帯系のチョウで(最近は温暖化のせいか、勢力拡大中という)、「子どものころは採れなかったんですよ。私にとっては幻のチョウ。だから、このチョウを見つけると、絶対に撮ってしまう。その顔をよく見ますと、恐竜のよう。非常に精悍な顔をしている」
次はアオウミガメ。
「チョウは空中を飛びますけれど、海も空も粘性が違うだけで、同じものなんですね。アオウミガメも飛んでいるわけです。だから飛ぶものを集めてみようと」
米軍の戦闘攻撃機、スーパーホーネット。編隊飛行するカゲロウとツクシトビウオ。そこから海や水を連想させるキイロハギ、ハイイロアザラシ(鼻だけを水面から出し、水面下で揺らぐ胴体が不思議だ)。
「次は、動物が持っている不思議さは、どうかな、と思って」、ビルの壁面いっぱいにへばりついた横長の白いぐねりとしたオブジェ。
「映画『シンゴジラ』を見たときにですね。ゴジラになる前は芋虫みたいなかっこうをしている。ああ、シンゴジラがこっちにやってくると思って、撮った」
ゴジラといえば恐竜。お椀とレンゲでつくられた龍のオブジェ。「有田の陶器市にいっぱいレンゲが並んでいるところもなんか龍みたいだな、と」。
浅草の外国人に人気のレストランにあるタイの活けづくり、の食品サンプル。花祭りで使うゾウのぬいぐるみ。宙に浮いた鉄の箱、光る箱。街の中へ、イメージを泳がせながら写真を組んでいく。
そこで転調。「句会にも色っぽい話、そういうのが必ず間に入るんです」。
二人のモデル、ランジェリー売り場のマネキン、横たわる裸婦。
「アートの世界でいちばん大事なのはやっぱり、女性の裸なんですね。縄文時代、ギリシャ時代からずっとそう。写真でもヌードは非常に重要なので、世の中に現れてくるものをちょっとづつ入れた」
最後は祭りや街中のスナップ。やがて夜になり、「夜行バスで帰っていく」。