1年間に800万トンものプラスチックごみが海に流れ込んでいるが、うち99%は行方がわからなくなっているという。一方、レジ袋がプラスチックごみ全体に占める割合は1・7%。これを少ないと見るか多いと見るか。マイバッグを持ち歩くことに意味はあるのか──。そんなモヤモヤ感を振り払うとっかかりを与えてくれる本だ。

 著者が戒めるのは、リサイクルや生分解性プラスチックなどをなんとなく雰囲気だけでよしとする風潮だ。たとえばマイバッグが、原料採掘から焼却処分までのサイクルで考えたとき、最低50回は使用しないと、環境への負荷の面でレジ袋削減に見合わないとしたら? そうした「数字」を見極めた上で、何をなすべきかを決めていくことが肝要と著者は説く。極論を排し、冷静で客観的な判断を促す語り口に深く頷かされる。(平山瑞穂)

週刊朝日  2020年8月14日-21日号