水中写真家・古見きゅうさんの作品展「JAPAN’S SEA」が7月29日から東京・品川のキヤノンギャラリー Sで開催される。
古見さんは毎年10~20回も海外取材に出かける一方で、「日本の海をずっと撮り続けてきた」。
特に海外のダイバー仲間たちから「日本の海ってどうなの?」とたずねられ、説明を繰り返しているうちに日本の海のすばらしさを実感するようになったという。
こんな国は世界中を見まわしても日本しかない
例えば、沖縄県・八重山諸島の周辺の大規模なサンゴ礁。その豊かさは世界最大のサンゴ礁であるオーストラリアのグレートバリアリーフと肩を並べるほどだ。
一方、冬の時期、北海道のオホーツク海沿岸には流氷が押し寄せる。
「考えてみると、こんな国は世界中を見まわしても日本しかないんですよ」
さらに、日本列島の北から南までダイビングポイントが全国各地にたくさんある。そんな国も日本くらいだという。しかも、「どこを潜っても楽しい」。
「沖縄だとサンゴ礁に依存するカラフルな魚が多い。北に行くとだんだん色がなくなってくるんですけれど、顔が面白い魚とか、そういうのがけっこういるんです」
これまで47都道府県のうち、海のあるところはほぼすべて訪れた。
特に思い出に残った海をたずねると、「うーん、そうですねえ」と言って、しばらく考え込んだ。そして、「いやね、いっぱいありすぎて」。
「例えば」と前置きして、話してくれたのが冬の北海道、知床の海。
「こんなに冷たい海に、こんなにもたくさんの生きものがいるんだと感動しました。ほんとうに魚がだーっといて、ほかにもタラバガニ、ミズダコとか。海岸線を歩いていると、トドがしょっちゅう顔を出す。陸に目を向けるとエゾシカがいっぱいいて、木にはワシが鈴なりに止まっていて。まさに、動物の王国だな、と思いましたよ。あの感覚はすごくよかったです」
チェーンソーで流氷に穴を開けて潜る
今回の写真展は流氷の故郷、ロシア・アムール川の河口から始まる。
「日本の流氷って、北米の流氷とは性質が違って、オホーツク海に流れ込むアムール川の水が混じった海水が結氷するんです」