200形について松本さんは、
「腰が低く、ほかの電車に比べて地を這うように走っていた姿が印象的でした。改めて当時の写真を見ると、国道246号の広かったことにも驚かされます。高速道路がなく、空が広かったせいでしょうか」
「交通弱者」の大切な足
その玉電も車社会が到来すると邪魔者扱いされ「ジャマ電」などと呼ばれるように。地下鉄の新玉川線(現・田園都市線)の建設が決まると本線は69年に廃止され、下高井戸への支線だけが「世田谷線」と名前を変えて残った。
令和の今、存続問題が持ち上がっている路線は少なくない。しかし、鉄道は高齢者や学生ら「交通弱者」の大切な足であり、鉄道が消えれば地域の明かりも消える。地域の実情に見合った、持続可能な公共交通機関の在り方を模索する必要がある。
(編集部・野村昌二)
※AERA 2020年6月29日号