(写真/筆者提供)
(写真/筆者提供)

◎1枚目
ある夏の昼過ぎ。
のどかな海岸の上空を一羽のトビがグルグル輪を描いて飛んでいました。
「ああ、お腹すいたなあ……」

◎2枚目
「あんなところに魚が打ち上げられている」
そう言った途端、トビは砂浜の魚めがけて急降下しました。

◎3枚目
すると突然魚の裏から一匹のカニが現れました。
カニは目の前のごちそうを食べようとしました。
バコーン!!
魚めがけてつっこんだトビとカニが頭をぶつけました。

◎4枚目
なんと、ぶつかった衝撃でトビとカニが合体してしまいました。
カニの体にトビの羽がついてしまったのです。

 今回のプロジェクト発表会は、新型コロナウイルス騒動の余波を受けて、いつもとは異なる展示会形式で実施することにしました。

 頻繁に換気を行うだけでなく、クラスごとに来場時間をずらして密集状態を防ぎます。

 部屋の長机の上には、思わず目を引く作品が並びます。

 前半に来場した低学年クラスの子どもたちは、先輩たちがどんなプロジェクトに取り組んできたのか興味津々。

 お父さんやお母さんに読み聞かせをお願いし、紙芝居の世界に浸っている姿があちこちで見られました。

 聴衆を前にした少し緊張感のある発表の場も良いですが、今回のように彼らの作品を一つ一つじっくり見られる発表形式も悪くないと気づいたのが個人的な発見です。

 後日、保護者面談の際に、中学年クラスに在籍する子のお父様からこんな感想を頂きました。

 そのお子さんは幼稚園の年長くらいの頃から他者と比較して劣等感を持つようになり、それが表現することへの苦手意識につながっていたとのこと。

 探究堂に通い続けてきたことで、表現に対する自信が出てきたように感じるとおっしゃってくださったのです。

 自分の気持ちや考えを素直に出すことが探究する学びの基盤になると考える探究堂にとって、この言葉はこれ以上ないくらい嬉しいものでした。

 これからも子どもたちとともに楽しく学び、彼らの可能性を引き出す教育を実践し続けたいと思います。

 昨年4月から連載してきた「探究堂日記」は今回で終了です。長らくのご愛読ありがとうございました。

AERAオンライン限定記事

○山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。

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