【群ようこさん連載】まいにち食べる（13）

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　空気が乾燥したり、突然、大雨が降ったり、また晴れたりと、本当に天気が複雑である。ふだんは飴を食べる習慣はないのだが、乾燥している日に外出しなくてはいけないときは、喉をうるおすために、のどの薬に関しては老舗のメーカーが出しているのど飴を口にする。スーパーマーケットやドラッグストアで売られているものは、袋入りで量も多く、バッグに入れるにはかさばるので、私は割高になっても、コンビニで売っている十個入りを買っていた。

　ある日、手持ちの飴がなくなったので、コンビニに行くと、そのアップグレード版ともいえるのど飴が売られていた。こちらのほうがのどに効くのではないかと思い、それを買って使っていた。ところがふと気がついて、

「こういったのど飴には、何が入っているのだろうか」

　とただでさえコンパクトな包装に記載されている、原材料名をチェックしようとしたら、老眼にはきつい1.5ミリ角くらいの文字が並んでいた。飴を持っている手を近づけたり遠ざけたりしながら読んでいったら、のど飴には想像もつかない、マーガリンが入っていた。口に入れてもマーガリン感はまったくなかった。そこで以前、買っていた通常版ののど飴を見てみたら、それには入っていなかった。私はのど飴にマーガリンが入っていたことに驚き、それからは以前買っていた通常版ののど飴に戻したのであるが、表示を見ないとわからないものだなと思った。アップグレード版を口に入れると、通常版はちょっと物足りない感じがした。その物足りなさのなかには、マーガリンが入っていないせいもあったのかもしれない。

　マーガリンは今はトランス脂肪酸の問題で、あれこれいわれているが、私の小学校の給食には、毎回もれなくパンに塗るマーガリンがついてきていた。それをほぼ毎日食べていたのだから、いったい体の中はどうなっていたのかと思うが、まあ今は問題なく過ごしているので、何とかなったのだろう。しかし自分が知って口に入れるのと、知らないうちに口に入れているのとでは、ちょっと違う。