生後3カ月の時、里親探しのイベントで出会い、連れて帰った犬です。
この日、運悪く里親が見つからなかった犬・猫は殺処分されると聞き、「おまえ、運が良かったね」とラッキー(写真、雄)という名前をつけました。
ラッキーは亡くなった義母に可愛がられ、いい慰め相手になっていました。義母が認知症の症状もなく、93歳で大往生できたのは、少しはラッキーのお陰もあったのかなと思います。
義母がからかって、さばく前の丸のままのタコやカニを見せると、嫌そうな顔をして後ずさりし、家族を大笑いさせたものです。
また、当時営んでいた店のパンが好きで、スーパーで買ったパンには見向きもしません。パンに関しては違いのわかる犬でした。
雑種の中型犬で、もともと丈夫に生まれついていたのでしょう、彼は病気らしい病気もせず、18歳の天寿を全うしました。
それでも最後の1年は紙オシメが外せず、オシメからポロポロ落ちるうんちを踏みまくって家の廊下は汚物まみれに。また、夜中の徘徊と無駄ぼえに、何度主人が真夜中の散歩に連れ出したことか。散歩中のワンちゃんを見かけるたびに、懐かしく思い出します。
不思議だなと思ったのは、痴呆の症状が進むにつれ、すっかり無表情になっていたのに、息を引き取る前の小一時間ほど、頭や体をさすって名前を呼ぶたびに、声は出ないものの「ワン」と口を動かし私の呼びかけに答えてくれたこと。
介護した日々の大変な思いが一掃され、心が満たされていくのを感じました。
何よりも「老いる」ということを身をもって教えてくれ、ありがとう。
いつかあの世で再会したら、「よくぞ長生きしてくれたね」と、また頭をなでてやりたいと思います。
[嶋田真江(まさえ)さん 山口県/60歳/パート]
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