冷凍保存する際には、気密性の高い保存容器か真空パックで保存する方法が良いとされています。冷凍庫の匂い移りや水分の付着を防ぐためですが、パッケージの空気をしっかり抜いた状態で保存するだけでも味わいの劇的な差を感じます。ぜひ、保存の方法でお悩みの際には、冷凍保存を試してみてください。
この研究を行った、私の友人でもある、アメリカ・オレゴン大学のChristopher Hendon 助教授らが「The effect of bean origin and temperature on grinding roasted coffee」(生産国と豆の温度帯が焙煎豆の挽き目に与える影響)と題した論文を2016年に発表しました。
この研究によると、コーヒー豆の温度が低ければ低いほど、粒度分布(豆を挽いた際の大小の粒子のバラつき。詳しくは新刊参照)が狭くなることがわかっています。つまり、同じコーヒー豆、同じ挽き目を使用しているにもかかわらず、豆の温度が違うだけで、異なる粒度分布を生み出すことがわかったのです。
使用された温度帯は、常温(20度)・冷凍(マイナス19度)・ドライアイス(マイナス79度)・液体窒素(マイナス196度)の4種類でした。いずれも解凍することなく、すぐにグラインダーで挽いています。
最も粒度分布を狭めグラフの歪度を高めたのは、液体窒素でした。その後、ドライアイス、冷凍、常温の順番で粒度分布に幅を生み出しています。
世界最高峰の技術や知識が集う、ワールド・バリスタ・チャンピオンシップにおいても近年、コーヒー豆をわざわざ凍らせて抽出に臨むバリスタが多くいます。なぜなら、より低い温度で凍らせた方が、粒度分布を狭め、効率良く粉の表面積を大きくできると科学的に明らかになったからです。ですので、この研究によって、冷凍するだけでより優秀な粒度分布を生み出せることがわかったわけです。
なお冷凍した場合でも、挽く際に解凍する必要はありません。豆は凍ったまますぐに挽いてください。粉の温度が低いので、お湯の温度を上げようかな、と考える必要はありませんので(一瞬で温度は上昇します)、いつも通り抽出をしてみてください。劇的な味わいの差にきっと驚くこと請け合いです。