世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩くジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、取材先でメモした記録から気になったトピックを写真を交えて紹介する。
■夜にうごめく影の正体とは?
フィリピンのセブ島で語学勉強をするために英語学校で受講していたときのことだ。学校では個室を用意してくれるので、そこで寝泊まりして生活しながら授業を受けていた。ところがある夜、異変に気がついた。
私の泊まっている部屋で物音がするのだ。携帯のライトで照らすと、何やら影が動いた。部屋の明かりをつけると、ジップロックに入れていた青汁(スティックタイプ)がかじられていた。ネズミの仕業である。
野菜が嫌いな私の体を健康に保っているのは、この青汁を毎晩飲んでいるからだと思っている。摂取しなかったら不健康へと一直線だろう。滞在中に、残りの青汁を食われないようにしなければ、死活問題である。とはいえ、殺風景な部屋で、どうやってネズミに立ち向かえばいいものか…。知恵を絞る必要があった。
■ゴンザレスVSネズミ 勝者は?
こうして私とネズミの戦いが始まった。私には過去にもネズミに食料を狙われた経験がある。かつて暮らしていたボロアパートで、備蓄していた米をやられたのだ。貧乏時代にである。その重要性は、今では考えられないほどである。
そんな恨みも手伝って、かなり本気で青汁の設置場所を検討することになった。まず考えたのは机の引き出し。だが、得策ではない。机の裏側から入られてしまうからだ。では、キャリーバッグの中はどうか。悪くないが、匂いにつられてきたネズミに本体がかじられてしまってはたまらない。
そこで、私は壁に刺さっていったネジに引っ掛けて青汁を吊るした。いかにネズミとはいえ、壁を走ることはできまい。周囲のものからジャンプして飛びつくこともできなさそうだ。
これがうまくいった。その後、青汁が食べられることはなかった。
ちなみに、学校の経営者にねずみのことを話すと、あっさりと対処してくれた。ネズミ捕りで捉えたのである。だが、いざ捕まえてしまうと、ネズミに対して複雑な気持ちになった。まあ、弱肉強食っていうことで。(文/丸山ゴンザレス)