人口減少が進む日本では、これからどんなことが起きるのか──河合雅司は『未来の年表』シリーズで具体的な予測を示した。データに基づくその内容はどれも想像以上に厳しく、私たちが「静かなる有事」に直面している現実を突きつけてきた。
では、そんな未来にどう対応していけばいいのか。河合はこのとんでもない難題と向きあうために、新たに『未来の地図帳』を提示して「戦略的に縮む」具体策を説いた。
河合は、まず現在の日本人がどのように地域間や地域内で移動しているか詳細に分析し、次に、2045年時点で、未来の日本人がこの国のどこに暮らしているのか、図表とともに明らかにする。
ここで私たちが知るのは、やはり「不都合な真実」ばかりだ。各地とも人口が減るだけでなく、高齢者の高齢化が進むのだから、無理もない。既存の行政サービスや医療、教育を受けられなくなり、商業施設も撤退する。当然、地方圏では各県庁所在地の市街地へ人口が集中し、他の市町村はさらに衰退していくだろう。
これらのデータに裏づけされた予測を知ると、いまだに「国土の均衡ある発展」を掲げる政治家の無責任さに怒りすら覚える。河合もその無為を指摘した上で、「戦略的に縮む」ために、地図に描けば点描画となるような「ドット型国家」への移行を提案。そのための具体策も5点明記し、社会システムを根本的に作り替えるよう主張する。
どう縮むか──私たちが「自分ごと」としてこの問題と向きあえるか、今、問われている。過去の栄光と早くおさらばできるか、まずはそこからだな。
※週刊朝日 2019年12月13日号