都電最後の路線延伸
もう1枚の写真は、昭和通りの和泉橋線から左に分岐して御茶ノ水線へ乗り入れる13系統新宿駅前行きの都電。13系統は1958年4月までは新宿駅前~万世橋で運転されていたが、万世橋~秋葉原駅前(開通後に秋葉原駅東口に改称)を延伸して和泉橋線に接続。運転区間が新宿駅前~水天宮前に変更された。同時期に柳島~福神橋、錦糸堀~錦糸町駅前も延伸されており、都電最後の路線延伸の一つとなった。この時代の秋葉原駅東口界隈は秋葉原貨物駅や秋葉原青果市場が盛業しており、両国や汐留のような貨物駅裏の雰囲気が漂う場所だった。
秋葉原は繁華な街に変わっていた。13系統新宿駅前行きの秋葉原駅東口停留所跡は画面左奥だったが、都電時代の乗降客が疎らな停留所から一転して、JR総武線・山手線・京浜東北線、東京メトロ日比谷線、つくばエクスプレス線が連絡する一大ジャンクションに変貌している。画面右手には「書泉ブックタワー」があり、神保町店を凌ぐ利用客で賑わっていた。正面向かい側、永島ビル左端の道路先に位置する「せんべい柏屋」に都電時代の憧憬が感じられた。
■撮影:1965年4月16日