
今回同時発表された2本のズームレンズはAPS-Cの範囲をカバーする。常用にも便利なワイド端16ミリからの標準ズームレンズは、NEXの名前の時代からキットレンズでなじみのE PZ 16-50ミリメートル F3.5-5.6 OSSやバリオ・テッサーT* E 16-70ミリメートル F4 ZA OSSなどがあるが絞り開放値の暗さがネックだった。

今回のE 16-55ミリメートル F2.8 Gは待望のF2.8通しの明るい標準ズームレンズだ。α6000番台シリーズのボディーにも似合い、φ73ミリという扱いやすい鏡筒径でズームミングしてもテレ端で32ミリほど全長が伸びる程度。鏡筒側でAF/MFの切り替えができ、カメラ電源のオン/オフによりピント位置がリセットされないので任意のピント位置に固定しておきたい花火や星景撮影に使いやすい。

望遠ズームは、E 70-350ミリメートル F4.5-6.3 G OSSが登場。これまでAPS-C機用としては、望遠端は210ミリが最長だった。フルサイズ対応レンズを含めれば、GMシリーズをはじめ魅力的な超望遠の選択肢は増えるが、高価なものやAPS-C機と組み合わせるには重量バランス的に難しいものも少なくない。その点では約625グラムで35ミリ判換算525ミリ相当を稼げる。スポーツ全般、野鳥、鉄道、飛行機など超望遠必携のさまざまなジャンルのユーザーが待ちわびた一本だ。
両レンズとも鏡筒にはフォーカスホールドボタンを搭載し、任意機能の割り当てが可能だ。ボタンを押す間だけトラッキングAFを発動したり、マイダイヤルに登録した設定を呼び出したりと自由な使い方ができる。
写真・解説=宇佐見健
※『アサヒカメラ』2019年11月号より抜粋