2020年度に導入される大学入学共通テストへのカウントダウンが始まっている。大学合格実績をひもとくと、変化の時代にも耐えうる「強い高校」が見えてきた。AERA 2019年11月4日号では、東京大、京都大、大阪大など難関10国立大と医学部への合格者数をそれぞれ調査し、独自にランキング付けした。ここではその一部を紹介する。
【ランキング】意外?おなじみ? 難関10国立大に強い高校50はこちら
* * *
単なる詰め込み型の教育ではなく、生徒の自主性を育てる教育。それこそが“武器”になる。その自主性を生かし、来たる大学入試改革を追い風にする高校もある。東京・新大久保の繁華街から少し離れたところにある名門校、海城だ。
海軍予備校として1891年に設立された同校の今年の東大合格者数は46人。歴史ある伝統校だが、四半世紀かけて学校改革を行ってきた。同校の入試広報室の中田大成室長は言う。
「約30年前、東大入学後に留年する率が高い学校だというご指摘がありました。それでは建学の精神に反すると、1992年から社会科で課題究明型の総合学習を始めました」
中高一貫校の同校は、中学3年時に原稿用紙30枚分の「卒業論文」を生徒に課している。当初は入試実績が下がると反対する声もあったが、学びの質を高めるには必要だと踏み切った。
「成績に影響しないよう、通常の授業面でも社会科教員らがしっかりフォローしました。世間では国公立で記述が増えたことや大学入試改革に向けて対策が必要だという声もありますが、海城生は中3で論文を書いているので、改めて何かする必要はないのです。約30年前に先行して取り組んだ教育内容が20年の入試改革に合っている。いまの高2生の実績はブレークするでしょう」(中田室長)
国公立大のみの人気では表れない実力にも注目したい。愛知の東海高校は、毎年多くの生徒が医学部に進学する。19年も国公立大医学部への合格者数が116人と突出。先の海城も私立大医学部への合格者数が132人と、1位の巣鴨に次ぐ2位につく。
また、最近では東大や京大よりも国公立大医学部を狙う傾向が高まっているという。