はい、そこのあなた。「猫ボラ」やってみませんか。文字通り、猫にかかわるボランティア。今も各地で、親とはぐれた子猫が腹をすかせて鳴いている。殺処分の日を待つばかりの猫もいる。猫ボラをすればハッピーな気分になれます。やってみた私(54)が言うのだから、間違いありません(笑)。
【写真】「猫ボラ」によじのぼる2匹の赤ちゃん兄弟猫(他あり)
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「ウリ坊、がんばれよ」
ニャー!!
「ペロもがんばれよ」
ミー!!
1匹ずつ抱き上げて、何度もほおずりした。
ウリ坊とペロは11月13日、宮崎県動物愛護センター(宮崎市清武町)で、“譲渡会デビュー”をはたした。私が1カ月余り、哺乳瓶でミルクを与えて育ててきた兄弟猫だ。
会場には、県や宮崎市、個人・団体が用意した保護猫がざっと50匹。来場者は1匹ずつ顔や毛並みを見て、「かわいいねえ」と目を細めながら瞬時に品定めし、他の猫に目移りする。ウリ坊は自慢のグレーのロングヘアを見せつけた。黒猫のペロはちょこんと前脚をそろえ、つぶらな瞳でかわいらしさをアピールした。
「兄弟一緒に引き取ってもらえたらいいな」。私は祈る気持ちで来場者の顔色をうかがっていた――。
宮崎市在住の私が県のミルクボランティアに登録したのは9月30日。きっかけは、その1週間ほど前に県内で開かれた保護猫のシンポジウムだった。保健所などに引き取られて「殺処分」となる猫の大半は幼い。親猫とはぐれた子猫は人の手で育てる必要があり、ボランティアの手が欠かせないという。会場で同センター勤務の獣医師、久保明子(めいこ)先生の悲痛な訴えを聴き、その場でミルボラに志願したのだった。
8月に自己都合で会社を辞めると、何にもする気が起きず、つい自堕落な生活を送っていた。大作映画「戦争と人間」3部作を見たり、小麦粉をこねてクロワッサンを作ったり、夜更けまで川でウナギを釣ったりしても時間は余っていた。7年前から我が家にいる猫2匹は手がかからない。「そんなに難しくないだろ」と、そのときは思った。