20年1月、エリザベス女王が滞在していた「サンドリンガム・ハウス」に家族が緊急招集された。その際、ハリー王子は「兄から怒鳴りつけられ、父は嘘を話し、女王は黙って静かに座っていた」と打ち明けた。「王室第一主義」に恐怖を覚え、王室離脱を決意したと話す。
王子を支えてきたはずのメーガン妃はその時、「早く(長男の)アーチーに会いたい」として、生活の拠点を置いていたカナダのバンクーバーにいた。当時でも英国では「メーガン妃は高みの見物」「きつい役どころは王子に押し付ける」と批判されたものだった。
さて、ウィリアム皇太子は何に怒ったのか、チャールズ国王の嘘とは何か……。ハリー王子が繰り広げた批判に対し、英国内ではむしろ説明不足だとの声が上がる。
もっとも気の毒なのはエリザベス女王だろう。ダイアナ元妃にかわって孫に接してきたつもりが、王室離脱という悲しい結果を迎えた。女王は「いったいなぜ」と繰り返し自分に問うたことだろう。
前後編を通して感じるのは、ハリー王子とメーガン妃は自分たちに都合の良い話だけを集めて、「ラブストーリー」を仕立て上げたことだ。さらには王室メンバーやスタッフ、タブロイド紙から“攻撃”を受けた被害者だと強調。「メーガン妃は国民の人気がきわめて高く、それに嫉妬した王室はつぶしにかかった」と言ってのける。メーガン妃も「私はオオカミのいけにえになった」と真顔で訴えた。
来年1月10日にはハリー王子の回顧録『スペア』が発売される。販促のため、米国ではテレビの人気司会者ゲイル・キング氏のインタビューを受ける予定もある。キング氏はメーガン妃の友人で、ニューヨークで開かれたアーチーくんのためのベビーシャワーにも駆け付けている。
「まだ語ることがある」というハリー王子。王室を強く批判しておいて、「父と兄には理解してほしい。2人を愛している」とも話す。チャールズ国王は、父親として君主として、どう対応してゆくのだろうか。
(ジャーナリスト・多賀幹子)
※週刊朝日オリジナル記事